燕市井土巻の耳鼻科クリニック

 

MEDICAL診療案内

耳の病気

耳の症状

耳の症状にはさまざまなものがあり、それぞれに原因となる病気が異なります。ここでは、代表的な耳の症状と、それぞれに関連する可能性のある病気についてご紹介します。

耳がいたい(耳痛)


耳の痛みは、耳そのものに原因がある場合と、のどや顎の病気が関係している場合があります。

【考えられる病気】
  • 急性中耳炎(子どもに多い)
  • 外耳炎(耳掃除のしすぎが原因になることも)
  • 外耳道真菌症(カビによる感染)
  • 耳管狭窄症(耳抜きがうまくできない状態)
  • 顎関節症(耳の近くの関節のトラブル)
  • 咽頭炎や扁桃炎(のどの炎症による関連痛)

耳がつまった感じ(耳閉感)


耳がふさがったような違和感は、耳の換気機能の問題や耳あか、音の伝わり方の異常など、さまざまな原因で起こります。

【考えられる病気】
  • 耳がつまった感じ(耳閉感)
  • 耳管機能障害(飛行機や高低差で悪化することも)
  • 滲出性中耳炎(鼓膜の奥に水がたまる)
  • 耳あか(耳垢栓塞)
  • 低音障害型感音難聴(ストレスが関与することも)
  • 突発性難聴(突然の聞こえの低下を伴う)
  • メニエール病(耳閉感+めまいの組み合わせ)

聞こえが悪い(難聴)


難聴は「音を伝える部分のトラブル(伝音難聴)」と「音を感じ取る部分のトラブル(感音難聴)」に分けられます。加齢や突発的な病気、長年の騒音暴露など、原因はさまざまです。

【考えられる病気】
  • 突発性難聴(早期治療が重要)
  • 加齢性難聴(年齢にともなう変化)
  • 急性・慢性・滲出性中耳炎(音の伝わりが悪くなる)
  • 音響外傷(大きな音にさらされたあと)
  • 耳硬化症(鼓膜の奥の骨が硬くなる病気)
  • 真珠腫性中耳炎(放置すると骨を破壊する中耳炎)

耳鳴り


周囲に音がないのに「キーン」「ジー」などの音が聞こえる状態です。耳鳴りは単独でも起こりますが、難聴やめまいを伴う場合もあります。

【考えられる病気】
  • 突発性難聴
  • メニエール病
  • 加齢性難聴
  • 音響外傷
  • 頭蓋内の血管異常(拍動性の耳鳴りの場合)

めまい


耳の奥にある「平衡感覚」を司る器官の異常が原因となるめまいは、耳鼻科的な疾患でよく見られます。回転するようなめまいや、ふらふらする感覚が出現します。

【考えられる病気】
  • 良性発作性頭位めまい症(頭を動かしたときにめまいが起こる)
  • メニエール病(耳閉感や耳鳴りを伴う)
  • 前庭神経炎(ウイルス感染が原因のことも)
  • 脳血管障害(脳の異常によるめまいで、頻度は低い)
  • 突発性難聴(めまいを伴うことがある)

顔の動きが悪い(顔面神経麻痺)


顔の表情をつくる筋肉の動きが悪くなる場合、顔面神経という神経の異常が関係しています。早めの診断・治療が重要です。

【考えられる病気】
  • ベル麻痺(原因不明の顔面神経の麻痺)
  • ハント症候群(帯状疱疹ウイルスによる顔面神経の麻痺)
  • 中耳炎・真珠腫(耳の中の炎症が神経に波及)
  • 脳腫瘍や脳幹疾患(まれに見られる)
  • 耳下腺腫瘍(神経の通り道にできた腫瘍による麻痺)

耳の機能と構造

耳には、音を伝える聴覚機能と、体のバランスを保つ平衡機能の2つの大切な役割があります。
「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の3つから構成されており、それぞれが異なる役割を果たしています。

  • 外耳:音を集めて鼓膜に伝える働きをします。
  • 中耳:鼓膜の振動を耳小骨とよばれる小さな骨の集合体が増幅し、内耳へと伝えます。
  • 内耳:蝸牛(かぎゅう)が音を電気信号に変換する聴覚機能と、三半規管・前庭とよばれる平衡器官により体のバランスを感知する平衡機能があります。

※画像:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

外耳炎(がいじえん)

どんな病気?


外耳炎は、耳かきや爪などで耳の中をかいてできた傷に細菌が感染し、炎症を起こすことで発症します。主な症状は耳痛と耳のかゆみで、悪化すると耳漏や耳閉感、難聴なども見られます。

原因は?


耳の入口から鼓膜の手前までを外耳といい、ここに炎症が起きると外耳炎となります。不要な耳かきや指の爪などで耳の中をかきすぎることが原因です。

症状は?


耳痛(耳の痛み)と耳のかゆみが主な症状です。炎症が強くなると耳漏(耳だれ)が生じ、外耳道が腫れて難聴(聞こえの悪化)や耳閉感(耳がつまった感覚)が見られるようになります。

検査は?


  • 耳鏡検査:外耳道、鼓膜の状態を確認します。
  • 培養検査:耳漏がある場合、原因菌を特定します。

※画像:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

治療法は?


  1. 耳処置:耳鼻咽喉科で耳の中の清掃を行います。耳だれや汚れた耳垢などを取り除き、必要に応じて生理食塩水や消毒液などで耳の中を洗浄します。
  2. 薬物療法:抗生剤やステロイド剤の点耳薬(耳の中にたらす薬)を使用します。炎症が強い場合、抗菌薬の内服やステロイド剤の軟膏を使用します。かゆみが強い場合、アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬を服用します。

予防法は?


外耳炎は多くの場合、過度の耳掃除が原因となります。耳掃除をする場合は月1回程度とし、入浴後に綿棒で軽くこする程度で十分です。また、長時間のイヤホン使用を控えることや、補聴器のこまめな手入れも外耳炎の予防に有用です。

急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)

どんな病気?


風邪を引いた後、鼻と耳をつなぐ「耳管」を通じて細菌やウイルスが中耳に侵入し、炎症を起こします。主な症状は耳痛、難聴、耳閉感で、進行すると耳漏がみられることもあります。多くは抗菌薬を用いた治療が必要となります。

原因は?


風邪を引くと鼻、のどに細菌やウイルスが増殖します。鼻と中耳は耳管とよばれる管でつながっており、鼻すすりや強い鼻かみを繰り返すことで中耳に細菌やウイルスが侵入し、中耳内部に膿が溜まることで発症します。

症状は?


耳痛(耳の痛み)、難聴(聞こえの悪化)、耳閉感(耳がつまる感覚)がみられ、進行すると耳漏(耳だれ)が出現し、炎症が強い場合、発熱を伴います。乳幼児では、耳を触る仕草や不機嫌な様子がサインになります。治療により膿がなくなったあとも、液体が溜まる滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)に移行することがあります。

※画像:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • ティンパノメトリー:鼓膜の張り具合を測定します。
  • 培養検査:耳だれがある場合、原因菌を特定します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻水の状態を確認します。

治療法は?


  • 軽症:3日間薬を使わずに観察し、治りが悪ければ抗菌薬を3~5日服用します。
  • 中等症:抗菌薬を3~5日間服用し、治りが悪ければ抗菌薬の種類を変更します。
  • 重症:抗菌薬を3~5日間服用し、必要に応じて鼓膜切開を行なうことがあります。治りが悪ければ抗菌薬の種類を変更します。

慢性中耳炎(まんせいちゅうじえん)

どんな病気?


慢性中耳炎は、鼓膜に穴が開くことで難聴や耳だれが生じやすくなる病気です。幼少期の中耳炎の反復や、鼓膜チューブの留置後、耳かきなどの外傷が原因となります。

原因は?


幼少期の中耳炎反復、滲出性中耳炎のチューブ挿入術、耳かき外傷などが原因で鼓膜に穴が形成されます。

症状は?


難聴(聞こえの悪化)や耳漏(耳だれ)が見られ、長期的には内耳の障害を生じ難聴が悪化することがあります。

※画像:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

※画像:日本医事新報社

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • CT検査:中耳の状態を確認します。
  • 培養検査:耳漏がある場合、原因菌を特定します。

治療法は?


  1. 薬物療法:耳漏がある場合、抗菌薬またはステロイドの点耳薬を使用します。耐性菌により点耳薬が効きにくくなった場合、週1~2回程度で耳内の洗浄が必要になります。
  2. 鼓膜形成術:耳漏の予防、聴力の改善を目的とした手術です。耳漏を繰り返す場合や、聴力改善が見込める場合、手術加療が可能な医療機関をご紹介いたします。

滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)

どんな病気?


滲出性中耳炎は、風邪や副鼻腔炎などによる耳管の機能不全が原因で、中耳に液体が溜まる疾患です。主な症状は難聴や耳閉感です。薬物療法で改善しない場合、鼓膜の処置が必要となります。

原因は?


耳管(耳と鼻をつなぐ管)の機能不全で発症します。小児ではアデノイド増殖や副鼻腔炎が原因となり、成人では風邪、副鼻腔炎などの感染症の他、上咽頭腫瘍などが原因となることがあります。

症状は?


難聴(聞こえの悪化)、耳閉感(耳がつまる感覚)がみられ、痛みはありません。耳鳴りや自声強調(自分の声が響く)などがみられることもあります。

※画像:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

※画像:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • ティンパノメトリー:鼓膜の張り具合を測定します。
  • 鼻内視鏡検査:必要に応じて上咽頭の状態を調べます。
  • CT検査:治りが悪い場合、側頭骨の状態を調べます。

治療法は?


  1. 薬物療法:抗菌薬や去痰剤を服用します。アレルギー性鼻炎がある場合はその治療も行います。
  2. 鼻処置・ネブライザー治療:鼻の感染症が原因の場合に有用です。
  3. 鼓膜切開:薬物療法で改善しない場合、局所麻酔下に鼓膜切開を行い、中耳に溜まった液体を排出させます。
  4. 鼓膜換気チューブ挿入術:鼓膜切開をしても繰り返す場合や、小児の3か月以上続く滲出性中耳炎には、鼓膜換気チューブの挿入が必要となることがあります。

    ※画像:小児滲出性中耳炎ガイドライン2022版

耳管機能不全症(じかんきのうふぜんしょう)

どんな病気?


耳管機能不全症は、耳と鼻をつなぐ耳管の機能が低下することで、中耳の圧力調整がうまくいかなくなる病気です。これにより、耳閉感や自声強調などの症状が現れます。
耳管機能不全症は、耳管狭窄症と耳管開放症の2つに分類され、それぞれ治療法が異なります。

原因は?


耳管は耳と鼻をつなぐ30~40mm程度の管で、普段は閉じていますが、つばを飲み込む時やあくびをするときに開き、外気と中耳の圧力を調整します。耳管が開きにくくなると耳管狭窄症、閉じにくくなると耳管開放症となります。
  • 耳管狭窄症:風邪による急性鼻炎やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、上咽頭炎などが原因となります。
  • 耳管開放症:急激な体重減少や経口ピルの内服、ストレス、更年期障害などが原因とされています。成人女性に多く見られ、妊娠中にも発症することがあります。

症状は?


「トンネルに入ったときのような」「高い山に登った時のような」と表現される耳閉感(耳がつまる感覚)や自声強調(自分の声が響く)、自己呼吸音聴取(自分の呼吸音がうるさく聞こえる)などが生じます。滲出性中耳炎に移行した場合は難聴や耳鳴も伴います。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • ティンパノメトリー:鼓膜の張り具合を測定します。
  • 鼻内視鏡検査:耳管の入口である上咽頭の状態を確認します。
  • CT検査:側頭骨や耳管周囲の状況を確認します。当院では耳管の評価に有用な座位CT検査を導入しています。
  • 耳管機能検査:耳管の機能を評価します。

治療法は?


  • 耳管狭窄症:鼻の奥にある耳管入口周囲の炎症を抑えるための薬物療法やネブライザー療法を行います。
  • 耳管開放症:生活指導や薬物療法、生理食塩水点鼻療法などを行います。近年、手術療法も選択肢の一つとなっています。

    ※画像:富士システムズ株式会社

加齢性難聴(かれいせいなんちょう)

どんな病気?


加齢性難聴は、年齢とともに徐々に進行する難聴です。40代から少しずつ聴力が低下し、75歳以上の約半数の方が難聴に悩むようになるといわれています。
内耳の感覚細胞の減少が原因とされ、現時点では聞こえを改善させる治療はありませんが、補聴器の装用が有効です。

原因は?


加齢による内耳の感覚細胞の減少が主な原因とされています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病や遺伝的要因、騒音などの周囲の環境要因も影響を与えることがあります。

症状は?


ゆっくりと進行する両耳の難聴で、初期にあまり聞こえにくさを自覚することはありません。特に高い音から聞こえが悪くなり始め、電子体温計などの電子音が聞こえない、などの症状が特徴的です。難聴が進行すると、耳鳴りを感じることがあります。

検査は?


  • 耳鏡検査:耳の中、鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 語音聴力検査:日常会話で使われる言葉の聞き取りやすさを調べる検査です。

治療法は?


現在の医学では、いったん傷ついた内耳の感覚細胞を回復させる方法は確立されておらず、失われた聴力を元に戻すことはできません。難聴をそのままにしておくと、日常生活に支障をきたすだけでなく、認知症やうつ病のリスクが高まることが報告されています。
しかし、補聴器を使用することで、聞こえを補うことは可能です。ただし、難聴の程度や状態は人によって異なるため、他人の補聴器を借りたり、調整されていない補聴器を使ったりしても、十分に聞こえるようにはなりません。
補聴器は、補聴器相談医の診断を受けたうえで、認定補聴器技能者が常駐する施設で適切に作成・調整することが大切です。
当院では、プライバシーに配慮した個室で補聴器の相談を行っており、認定補聴器技能者とじっくりお話ししながら、ご自身に合った補聴器を選ぶことができます。

突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)

どんな病気?


突発性難聴は、突然片耳の聞こえが悪くなる原因不明の難聴です。内耳の障害が原因とされ、難聴の他に耳鳴りや耳閉感、めまいを伴うことがあります。治癒率は約30%とされています。

原因は?


ウイルス感染や内耳の血液循環不全が考えられていますが、詳しい原因は不明です。

症状は?


突然発症する片耳の難聴で、耳鳴り、耳閉感、めまいを伴うことがあります。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • MRI検査:治りが悪い場合に行います。

<突発性難聴の聴力>

※画像:https://www.izima.jp/blog/2017/07/post-404-522328.html

治療法は?


  • 薬物療法:ステロイド剤、代謝改善薬、ビタミン剤、血流改善薬などを使用します。
  • ステロイド鼓室内投与:鼓膜に穴を開けてステロイド剤を注入します。
  • 高気圧酸素療法:高気圧カプセルに入り、内耳の血液循環を改善します。
*早期治療が重要で、発症後7日以内の治療開始が推奨されています。

低音障害型感音難聴(ていおんしょうがいがたかんおんなんちょう)

どんな病気?


突然発症する低音域の難聴です。片耳で発症することが多いですが、両耳に生じることもあります。内耳にある蝸牛(かぎゅう)とよばれる器官の障害が原因で、耳閉感、難聴、耳鳴りなどを感じます。
特に女性に多く見られる病気で、適切な治療で改善することが多いですが、再発することがあります。

原因は?


内耳には、聞こえをつかさどる蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官があります。蝸牛の内部には膜迷路とよばれるリンパ液が流れる構造物があり、そこがむくむ内リンパ水腫が病態と考えられています。
過労やストレスが関係している可能性があります。

症状は?


突然生じる低音域の難聴で、耳閉感(耳がつまる感覚)を感じることが多いです。その他に耳鳴りや自声強調(自分の声だけが大きく聞こえる現象)を感じることがあります。めまいを伴う場合、メニエール病という疾患が疑われます。
治療により回復した後も、同じ症状を繰り返すことがあります。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • ティンパノメトリー:鼓膜の張り具合を調べます。

治療法は?


内リンパ水腫を改善させる目的で、利尿剤、代謝改善薬、ビタミン剤などを服用します。難聴が中等度以上の場合、ステロイド剤を服用します。ステロイド剤は数日おきに量を減らしていき、7~10日間程度服用します。
利尿剤のイソソルビドは独特の風味のため、冷やして飲む、冷たい水で2倍程度に薄める、オレンジジュース、コーラ、スポーツ飲料などに混ぜるなどの工夫で飲みやすくなります。利尿剤が飲めない場合、漢方薬を服用することもあります。

メニエール病(めにえーるびょう)

どんな病気?


メニエール病は、内耳の障害によって引き起こされる病気で、内リンパ水腫が主な病態と考えられています。難聴、耳鳴り、耳閉感を伴い、めまい発作を繰り返すという特徴があります。

原因は?


内耳には、聞こえをつかさどる蝸牛と、平衡感覚をつかさどる三半規管・前庭があります。その内耳の中には、膜迷路とよばれるリンパ液が流れる部分があり、ここがむくむ内リンパ水腫がメニエール病の主な病態と考えられています。
過労や睡眠不足、ストレスのほか、天候や気圧の変化に関連があるとされ、冬と春に発作が多く生じるといわれています。

症状は?


めまい(回転性または浮動性)や、吐き気の他、難聴、耳閉感、耳鳴りを生じます。
これらの症状は1回だけではなく、発作を繰り返します。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 平衡機能検査:目の動き(眼振)から平衡感覚を調べます。

    赤外線CCDカメラ

  • 重心動揺計:体のバランスを評価します。

治療法は?


  1. 薬物療法:内リンパ水腫を改善させる目的で、利尿剤、代謝改善薬、ビタミン剤などを服用します。難聴が中等度以上の場合、ステロイド剤を服用します。
    利尿剤のイソソルビドは独特の風味のため、冷やして飲む、冷たい水で2倍程度に薄める、オレンジジュースやコーラ、スポーツ飲料などに混ぜるなどの工夫で飲みやすくなります。利尿剤が飲めない場合、漢方薬を服用することもあります。
  2. 生活習慣の改善:栄養バランスの良い食事をとり、適度な運動、十分な睡眠、積極的な水分摂取(1日2リットル目標)を心がけましょう。
    • 栄養バランスのよい食事
    • 減塩
    • 水分摂取(1日2Lを目標)
    • 十分な睡眠時間の確保
    • 適度な運動(歩く、泳ぐなどの有酸素運動を30分、週2,3回程度)
    • ストレス発散
  3. 中耳加圧療法:難治性のメニエール病の方が対象となる鼓膜マッサージ器を用いた治療法です。1日2回、1回あたり3分間鼓膜をマッサージします。保険診療で3割負担の方の場合、8,000円/月程度の費用が発生します。耳に傷がある、鼓膜に穴がある、メニエール病以外の方は使用できません。また、器械の準備に時間がかかります。

    第一医科株式会社

  4. 手術療法:頻回にめまい発作を繰り返し、薬物療法や生活習慣改善などで改善が見られない場合、「内リンパ嚢開放術」とよばれる手術治療が検討されます。

耳鳴症(じめいしょう)

どんな病気?


耳鳴りとは、実際には音が鳴っていないのに音が聞こえる現象を指します。多くの場合、難聴に伴って生じ、完治は難しいとされています。カウンセリングや音響療法などの治療が有用ですが、薬物療法を併用することもあります。

原因は?


音は外耳・中耳を通って内耳に伝えられ、蝸牛で電気信号に変換されます。難聴になると脳への電気信号が減り、脳は減った電気信号を元に戻そうと過度に興奮します。この脳の過度の興奮を耳鳴りとして感じます。

※画像:耳鳴りハンドブック リオン株式会社

症状は?


「ピー」「ジー」「ゴー」などの耳鳴りが聞こえます。多くは難聴に伴って生じますが、難聴の自覚がない場合もあります。拍動性耳鳴の中には血管の病気や筋肉のけいれんが原因となる場合があります。耳鳴りへの意識の集中やストレス、不安、過労、不眠などが症状を悪化させます。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 耳鳴検査:耳鳴りの大きさや周波数を測定します。
  • CT検査:側頭骨の状態を調べます。
  • MRI検査:脳の状態を調べます。

治療法は?


  1. 耳鳴りに対する理解:耳鳴りの原因や発生のメカニズムを理解し、過度に不安を感じないようにします。ストレス、不安、過労、不眠などを取り除くことが大切です。
  2. 薬物療法:突発性難聴などの急性難聴が原因の場合、ビタミン剤や血流改善薬、ステロイド製剤を使用します。必要に応じて抗不安薬、睡眠導入剤、漢方薬などを使用します。
  3. 音響療法:補聴器やサウンドジェネレーター、自然の音を利用して耳鳴りを軽減します。

耳鳴り改善のための生活の工夫


長い目でみる:耳鳴りは日々変化するため、治療効果に一喜一憂せず長い目で見ることが大切です。
  • 耳鳴りの大きさを確認しない:耳鳴りの程度を確認する習慣をやめ、意識を集中させないようにしましょう。
  • やりたいことをやる:趣味や運動など、自分が好きなことに集中し、耳鳴りが気にならない時間を増やしましょう。

良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)

どんな病気?


良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、耳の奥にある半規管というバランス感覚器の中に耳石と呼ばれる極小のカルシウムの粒が混ざり、その粒が転がることでぐるぐるとしためまいが生じる病気です。若い方からお年寄りまで幅広い年齢層の方が発症します。

原因は?


耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの小さな粒が半規管に迷入することで発症します。頭部への衝撃や、骨粗鬆症などの加齢に伴う変化が原因と考えられています。

症状は?


起き上がる時や寝返りで回転性めまいが数秒から数十秒続きます。通常は難聴や耳鳴りなど、他の耳の症状は伴いません。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 平衡機能検査:目の動き(眼振)から平衡感覚を調べます。
  • 重心動揺計:体のバランス感覚を評価します。

治療法は?


  1. 運動療法:基本的な治療は運動療法となります。寝起きの運動、前後の運動、寝返りの運動を繰り返すことで症状を改善します。
  2. 薬物療法:めまいによる吐き気を和らげる目的で抗めまい薬や吐き気止めを服用します。

慢性めまい(まんせいめまい)

どんな病気?


めまい症状が3か月以上続く場合は慢性めまいと呼ばれます。回転性めまいよりもふらつきなどの浮動性めまいが多く、様々な原因があります。原因疾患によっては薬物療法で効果が得られにくく、リハビリが有効とされています。

原因は?


慢性めまいの原因は複数あり、近年ではPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)と呼ばれる新しい疾患概念が提唱され、慢性めまいの原因として最多とされています。その他に、前庭神経炎などの強いめまいの後で長期間めまい症状が続く代償不全、加齢による平衡感覚の低下である加齢性前庭障害、精神的な不安からくる心因性めまいや、脳血管障害後遺症などが知られています。

症状は?


回転性めまいのような強いめまいではなく、「ふわふわする」「地に足が着いていない」「真っ直ぐに歩けない」などの症状があります。

検査は?


  • 耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 平衡機能検査:目の動き(眼振)から平衡感覚を調べます。
  • 重心動揺計:体のバランスを評価します。

治療法は?


PPPDや心因性めまいなどは高次の医療機関で精査の上、適切な薬物療法が必要となります。強いめまいの代償不全や、加齢性前庭障害ではリハビリが有用です。

末梢性顔面神経麻痺(まっしょうせいがんめんしんけいまひ)

どんな病気?


顔面神経にウイルスが感染し、顔の動きが悪くなる病気です。顔面麻痺単独の場合はベル麻痺、耳の湿疹や難聴、めまいを伴う場合はラムゼイ・ハント症候群と呼ばれます。

※画像:顔面神経 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

原因は?


顔面神経がウイルス感染や外傷によりダメージを受けることで発症します。ベル麻痺、ハント症候群、外傷性麻痺が主な原因です。

症状は?


顔面麻痺、耳痛、耳周囲の湿疹、難聴、めまい、目の乾燥、味覚異常などが見られます。

※画像:https://twitter.com/rockybabyto/status/800269623606116352

検査は?


耳鏡検査:鼓膜の状態を確認します。
  • 聴力検査:聞こえの程度を調べます。
  • 表情筋スコア:麻痺の程度をスコア化し評価します。
  • 電気生理検査:麻痺の治りやすさ(予後)の評価のための検査です。
  • CT、MRI検査:頭の中や、顔面神経の通り道である耳の奥、耳下腺周囲に異常がないか調べます。

治療法は?


  1. 薬物療法: ステロイド剤、抗ウイルス薬、代謝改善薬、ビタミン剤などを使用します。
  2. 手術療法: 予後不良(治りが悪いと予想される)の場合、顔面神経減荷術が適応されることがあります。
  3. リハビリテーション: マッサージ、温熱療法、バイオフィードバック療法などを行います。

鼻の病気

鼻の症状

鼻の症状は、風邪のような一時的なものから、慢性の病気やアレルギー、時には重大な病気が隠れていることもあります。ここでは、代表的な鼻の症状と、それに関連する主な病気をご紹介します。

鼻水(はなみず)


さらさらした鼻水も、ねばねばした鼻水も、体が異物と戦っているサインです。

【考えられる病気】
  • 急性鼻炎(いわゆる風邪)
  • アレルギー性鼻炎(花粉やハウスダストなどが原因)
  • 副鼻腔炎(どろどろした鼻水、蓄膿症)
  • 加齢性鼻炎(年齢の変化に伴う鼻水)

鼻づまり(鼻閉)


空気の通りが悪くなり、呼吸しづらくなる状態です。片側だけの鼻づまりにも注意が必要です。

【考えられる病気】
  • アレルギー性鼻炎
  • 鼻中隔弯曲症(鼻の中の仕切りが曲がっている)
  • 鼻茸(ポリープ)
  • 慢性副鼻腔炎(長引く鼻の病気)
  • 鼻内腫瘍(まれだが重要)

くさいにおいがする(悪臭)


鼻の中で膿や腐敗した物質があると、独特なにおいを感じることがあります。

【考えられる病気】
  • 慢性副鼻腔炎(特に膿性の鼻水があるとき)
  • 萎縮性鼻炎(鼻の中が乾燥しやすい)
  • 鼻内異物(お子さんに多い)
  • 鼻内腫瘍(まれだが悪性腫瘍の可能性あり)

においがわからない(嗅覚障害)


においがしない・感じにくいといった症状は、生活の質にも大きく影響します。

【考えられる病気】
  • 感冒後嗅覚障害(風邪や新型コロナ後など)
  • アレルギー性鼻炎
  • 慢性副鼻腔炎(特に好酸球性副鼻腔炎)
  • 鼻茸
  • 頭部外傷
  • 嗅神経腫瘍(ごくまれ)

鼻が痛い


鼻の外や中が痛む場合、炎症や外傷が原因となっていることが多いです。

【考えられる病気】
  • 急性副鼻腔炎(特に頬や目の奥が痛む)
  • 鼻前庭炎(毛穴に細菌感染が起こる)
  • 鼻中隔膿瘍(外傷や感染による)
  • 鼻骨骨折(転倒や衝突などの外傷)

鼻が腫れた


腫れがある場合、炎症や外傷、まれに腫瘍の可能性もあります。

【考えられる病気】
  • 鼻せつ(鼻前庭炎が悪化)
  • 鼻骨骨折
  • 鼻腔・副鼻腔の腫瘍

鼻がのどに流れる(後鼻漏)


鼻水がのどに垂れてくる状態で、痰がからむような不快感があります。

【考えられる病気】
  • 副鼻腔炎(急性・慢性)
  • アレルギー性鼻炎
  • 上咽頭炎(鼻とのどのつなぎ目の炎症)
  • 咽喉頭異常感症(違和感だけがつづく状態)

鼻血(はなぢ)


突然の出血は驚くかもしれませんが、多くは軽度な原因によるものです。ただし、繰り返す場合は注意が必要です。

【考えられる病気】
  • 鼻出血症(最も多い)
  • アレルギー性鼻炎(鼻への刺激で粘膜が弱くなる)
  • 鼻腔内腫瘍(まれに血管からできた腫瘍や、悪性腫瘍のことがある)
  • 血液の病気(まれだが血小板減少、血友病など)

鼻の機能と構造

鼻は、呼吸をするだけの単なる通り道ではありません。
鼻から入る空気をきれいにする清浄機能、空気を温め、加湿する加湿・加温機能をもっており、口呼吸よりも自然な呼吸経路とされています。その他にも、においを感じる嗅覚機能があり、私たちの生活の質を高める大切な役割を持っています。
「鼻腔(びくう)」と「副鼻腔(ふくびくう)」から構成されており、それぞれ異なる機能を有しています。

  • 鼻腔:空気の通り道であり、粘膜や鼻水、鼻毛などが空気中のゴミを取り除く高性能なフィルターの役割をもちます。また、鼻腔の上部にある「嗅粘膜」がにおいを感じる器官です。
  • 副鼻腔:鼻腔からつながる空洞で、頬の裏にある上顎洞(じょうがくどう)、両眼の間にある篩骨洞(しこつどう)、額の裏にある前頭洞(ぜんとうどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4種類があります。空気の加湿や、声の共鳴などに関係しています。

※画像:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

アレルギー性鼻炎(あれるぎーせいびえん)

どんな病気?


アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンを吸い込むことで鼻の粘膜が刺激され、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出る病気です。放置すると集中力の低下や睡眠障害を引き起こすことがあります。

※画像:鼻の病気 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

原因は?


  • 通年性アレルギー性鼻炎:ダニ、ハウスダスト
  • 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症):スギやブタクサなどの花粉

症状は?


2週間以上続くくしゃみ、鼻水、鼻づまりはアレルギー性鼻炎の可能性があります。花粉症の場合、目のかゆみも伴います。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。
  • アレルギー検査:アレルギーの原因を特定します。当院では指先からの血液のみで痛みが少なく、30分で結果が分かり、41項目のアレルゲンが測定可能なドロップスクリーンを導入しています。

※画像:日本ケミファ株式会社

治療法は?


  1. 抗原の回避:アレルゲンを体内に侵入させない工夫をします。
  2. 薬物療法:アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド鼻噴霧薬などを使用します。
  3. アレルゲン免疫療法:アレルゲンを少しずつ体内に取り込み体質を改善させる治療法です。3?5年と治療期間は長期間ですが、アレルギーを根本的に改善できる有用な治療法です。
  4. 手術療法:薬物療法で効果が不十分な場合、鼻づまり、鼻水を改善させる手術療法も選択肢となります。
  5. 抗体療法:重症のスギ花粉症に対してオマリズマブ(ゾレア?)が適応となっています。

急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)

どんな病気?


急性副鼻腔炎は、かぜの後に黄色や緑色の鼻水が続き、痰や咳、顔の痛みが出る病気です。自然に治ることもありますが、放置すると慢性化したり、目や頭に感染が広がることがあります。

原因は?


ウイルス感染による 風邪などの後に細菌感染が起こり、副鼻腔に膿が溜まることで発症します。

症状は?


どろどろの濁った鼻水や鼻づまり、においが分からないなどの症状のほか、頭痛・顔の痛みなどが生じます。
悪化すると目の周りが腫れたり、ものが2重にみえる状態(複視)となることがあります。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。
  • 培養検査:原因菌を特定します。
  • レントゲン検査:副鼻腔内の状態を確認します。
  • CT検査:副鼻腔内の状態を詳細に評価します。

正常

副鼻腔炎

治療法は?


  1. 鼻処置:薬液の噴霧や、鼻水の吸い出しを行います。
  2. ネブライザー療法:抗菌薬やステロイド剤を霧状にして、鼻内に散布します。
  3. 薬物療法:抗菌薬や去痰剤を使用します。
  4. 自己鼻洗浄:生理食塩水で鼻内を洗浄します。

慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)

どんな病気?


慢性副鼻腔炎は、副鼻腔に膿がたまる病気で、蓄膿症とも呼ばれます。3か月以上続く粘性鼻水、鼻閉、嗅覚障害などが特徴です。
アレルギーが関与する好酸球性副鼻腔炎は完治が難しく、難病に指定されています。

原因は?


感染やアレルギー反応により副鼻腔の粘膜が腫れ、鼻ポリープが形成されます。細菌感染や真菌感染、虫歯も原因となることがあります。

症状は?


ねばねばの鼻水や鼻づまり、においの障害、鼻がのどに下がる(後鼻漏)、痰などがみられます。急性副鼻腔炎のような強い痛みや発熱はありませんが、膿が多量に溜まると頬や歯の痛みがでることがあります。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。

    <鼻内視鏡検査>

  • 培養検査:原因菌を特定します。
  • レントゲン検査:副鼻腔の状態を確認します。
  • CT検査:副鼻腔の状態を詳細に評価します。
  • 血液検査:アレルギーの関与がないか調べます。

治療法は?


  1. 鼻処置:薬液の噴霧や、鼻水の吸い出しを行います。
  2. ネブライザー療法:抗菌薬やステロイド剤を霧状にして、鼻内に散布します。
  3. 薬物療法:1~3か月程度、少量のマクロライド系抗菌薬を服用します。好酸球性副鼻腔炎の場合はステロイド剤の鼻噴霧・内服などを組み合わせます。
  4. 自己鼻洗浄:生理食塩水で鼻内を洗浄します。
  5. 手術療法:薬物療法などで改善しない場合、内視鏡下鼻副鼻腔手術が選択肢となります。
  6. 抗体療法:好酸球性副鼻腔炎に対する新しい治療法です。

嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)

どんな病気?


嗅覚障害は、においを感じにくい、全て同じにおいに感じる、常にくさいにおいを感じるなどの症状があります。原因により治療方法や治り方が異なります。

※嗅覚障害診療ガイドライン 嗅覚障害の部位別分類

原因は?


嗅覚障害は以下の3つに分類されます。
  1. 気導性嗅覚障害:慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻腔の形態異常が原因。
  2. 嗅神経性嗅覚障害:風邪や新型コロナウイルスなどのウイルス感染症や、頭部外傷による嗅神経の障害。
  3. 中枢性嗅覚障害:脳挫傷やパーキンソン病・アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患による脳の障害。

症状は?


においを感じにくい・全く感じない、本来のにおいとは異なるにおいに感じる、常に何かのにおいを感じているなどの症状があります。高度の嗅覚障害の場合、「味が弱い」といった風味障害も生じることがあります。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。

    慢性副鼻腔炎の鼻ポリープ

  • CT検査:副鼻腔の状態を詳細に評価します。

    慢性副鼻腔炎による気導性嗅覚障害
    嗅覚障害診療ガイドライン

  • 嗅覚検査:においの程度を評価します。

治療法は?


嗅覚障害は原因により治療法が異なります。代表的な疾患と治療法は以下の通りです。
  • 慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎):マクロライド療法やステロイド鼻噴霧薬、ステロイド側臥位点鼻などにより治療します。改善が乏しい場合、手術療法を行います。
  • 感冒後嗅覚障害:風邪などのウイルス感染に続く嗅覚性嗅覚障害です。自然に改善することもありますが、1~2年程度時間を要することもあります。漢方薬(当帰芍薬散)や亜鉛製剤、ビタミン剤を服用し、嗅覚刺激療法が有効と報告されています。
  • アルツハイマー型認知症・パーキンソン病:有効な治療法は確立されておらず嗅覚の予後は不良ですが、においの低下が認知症の早期発見につながる可能性があります。
  • 外傷性嗅覚障害:交通事故などによる頭部の外傷で生じる嗅神経性嗅覚障害です。有効な治療法は確立されておらず予後は不良で、嗅覚刺激療法が唯一の治療法とされています。

鼻前庭炎(びぜんていえん)

どんな病気?


鼻の入口付近の毛穴や粘膜が感染・炎症を起こし、鼻の痛み、かさぶた、鼻血、鼻づまりなどの症状が出る病気です。主に鼻いじりや鼻を強くかむことが原因です。

※ロート製薬

原因は?


鼻いじりや鼻を強くかむことで、鼻の入口部分の皮膚や粘膜が傷つき、炎症が生じます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の方は特に注意が必要です。

症状は?


鼻内の痛み、かさぶた、鼻出血、鼻づまりなどが生じます。悪化すると鼻の外側が赤く腫れ、強い痛みが出ます。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。

治療法は?


嗅覚障害は原因により治療法が異なります。代表的な疾患と治療法は以下の通りです。
  1. 鼻の安静:鼻への刺激を減らすことで自然に治癒することがあります。
  2. 薬物療法:ステロイド剤を含む軟膏を鼻の入口に塗布します。
  3. 原疾患の治療:アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因となっている場合、それらをしっかり治療することで改善が期待できます。

鼻出血症(びしゅっけつしょう)

どんな病気?


鼻出血症は、鼻の粘膜や血管が損傷し、鼻内で出血することで発症します。多くの場合は自然に止血するため心配は不要ですが、繰り返す場合やなかなか止血しない場合は耳鼻咽喉科の受診が必要となります。圧迫による止血が基本ですが、手術療法が必要となる場合があります。

原因は?


鼻の中の粘膜には血管がたくさん通っています。風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで何度も鼻をかんだり、乾燥した空気にさらされることで粘膜が傷つくことがあります。また高血圧が関係することや、まれに鼻の腫瘍が原因となることもあります。さらに、血液がさらさらになる薬を飲んでいる場合は、血が止まりにくくなることがあります。

症状は?


鼻血は通常少量の出血で、数分から十数分で止まります。しかし、だらだらと出続ける、のどにどんどん流れこむ、何度も鼻血を繰り返す場合は注意が必要です。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。
  • CT検査:出血源が分からない場合に追加することがあります。

治療法は?


自宅でできる治療としては圧迫止血法があります。
椅子に座り、鼻翼(小鼻)を指で強くつまみ、うつむいた姿勢で10分から15分ほど安静にします。


医療機関で行う治療としてはガーゼタンポン法や鼻粘膜焼灼術があります。


【注意事項】
止血後は鼻血が再発しないように、鼻いじり、激しい運動、長時間の入浴(シャワー可)、飲酒・喫煙などは1週間程度控えてください。

加齢性鼻炎/老人性鼻炎(かれいせいびえん/ろうじんせいびえん)

どんな病気?


加齢性鼻炎(かれいせいびえん)とは、加齢による鼻粘膜の萎縮や神経の働きの変化が原因となる病気です。症状は鼻水や後鼻漏で、アレルギー性鼻炎に似ていますが、一般的な内服薬や点鼻薬の効果が限定的です。

原因は?


加齢により鼻の粘膜が萎縮し、鼻の加湿・加温機能が低下します。すると鼻の中が乾燥しやすくなり、食事などの軽い刺激にも敏感になることが原因とされています。

症状は?


鼻漏(さらさらの鼻水が垂れてくる)、後鼻漏(鼻水がのどに下がる)などの症状がみられ、鼻閉(鼻づまり)やくしゃみはみられないことが多いです。
特に、「食事中に鼻水が垂れてくる」や、「常に鼻からのどに鼻水がさがる」といった症状が特徴的です。

検査は?


  • 鼻鏡検査:鼻内の状態を確認します。
  • 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで詳しく調べます。
  • アレルギー検査:アレルギーの有無を調べます。

治療法は?


  1. 温熱療法:加齢による鼻粘膜の温度低下を防ぐ目的で行う治療法です。
    • 足湯:足を温めることで全身の血液を温める方法
    • 蒸しタオル:お湯で浸したタオルを顔に当て、温かい上記で鼻の中を温める方法
    • マスク着用:マスクをすることで鼻の乾燥を減らす方法
    • 鼻洗浄:39~40℃に温めた生理食塩水で鼻の中を洗浄する方法
  2. 薬物療法:加齢による鼻の機能変化のため、薬による治療ではあまり効果が期待できません。しかしアレルギー性鼻炎も発症している可能性があるため、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド鼻噴霧薬といった、アレルギー反応を抑える飲み薬や点鼻薬を短期間使用します。効果がなければ、漢方薬を服用することもあります。

喉(のど)の病気

喉(のど)の症状

のどの症状は風邪だけでなく、アレルギー、声の使いすぎ、時には重い病気が原因のこともあります。ここでは、代表的な「のどの症状」と、それぞれに関連する可能性のある病気をご紹介します。

のどが痛い(咽頭痛)


飲み込むときの痛みや、ヒリヒリとした不快感がある状態です。ウイルスや細菌感染、時には粘膜の傷などが原因となります。

【考えられる病気】
  • 急性咽頭炎(新型コロナウイルスを含むウイルス感染症が多い)
  • 急性扁桃炎(扁桃にウイルス、細菌が感染し、高熱がでることも)
  • 口内炎(のどにできることも)
  • 喉頭炎・声帯炎(声枯れを伴う)
  • 咽頭がん・喉頭がん(痛みが長く続く場合は要注意)
  • 逆流性食道炎(逆流した胃酸がのどを刺激)

のどの違和感


「のどに何か引っかかっているような」「飲み込みにくい」といった症状で、明らかな痛みがなくても不快感が続くことがあります。

【考えられる病気】
  • 咽喉頭異常感症(ストレスや緊張が関与)
  • 逆流性食道炎(胃酸の逆流による刺激)
  • 慢性咽喉頭炎(咳や後鼻漏を伴うことも)
  • 咽頭腫瘍・甲状腺腫瘍(まれだが鑑別が必要)
  • 嚥下障害(加齢や神経疾患による)

声がかすれる(嗄声)


声が出しにくい、枯れたような声になる症状です。声帯の炎症やポリープ、神経のトラブルが関係していることがあります。

【考えられる病気】
  • 急性喉頭炎(風邪や声の使いすぎ)
  • 声帯ポリープ・声帯結節(歌手や教師など声を多く使う方に多い)
  • 喉頭がん(持続する嗄声は要注意)
  • 反回神経麻痺(甲状腺腫瘍などによる神経の障害)
  • アレルギー性咽喉頭炎(のどのアレルギー)

いびき・睡眠中の無呼吸


寝ているときのいびきや呼吸の停止は、ご自身では気づきにくい症状ですが、健康に大きな影響を与えることがあります。

【考えられる病気】
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • 扁桃肥大・アデノイド肥大(特に子どもに多い)
  • 肥満(首回りの脂肪沈着による気道狭窄)
  • 鼻づまり(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)
  • 鼻中隔弯曲症(鼻の通りが悪い)

喉(のど)の機能と構造

のどは、鼻と口の奥にある場所で、呼吸嚥下(えんげ:ものを飲み込む)、発声(はっせい:声をだす)の機能があるほか、扁桃と呼ばれる免疫に関与する器官があります。
のどには、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)があり、咽頭は上から「上咽頭(じょういんとう)」、「中咽頭(ちゅういんとう)」、「下咽頭(かいんとう)」から構成され、下咽頭の前方に喉頭があります。

  • 咽頭:鼻の奥からつながり、食べ物を食道まで運ぶ通り道となっています。
  • 喉頭:気管につながる空気の通り道であり、発声にかかわる器官です。

扁桃炎(へんとうえん)

どんな病気?


扁桃炎は、のどの奥にあるリンパ組織が炎症を起こす病気です。急性扁桃炎は風邪症状と似ていますが、高熱や強いのどの痛みを伴うことが特徴です。重症化すると扁桃周囲膿瘍になることがあります。特に免疫力が低下していると発症しやすく、再発を繰り返す場合は慢性扁桃炎へ移行することもあります。抗菌薬などによる適切な治療が必要です。

原因は?


細菌やウイルスの感染が原因となります。小児や若年成人では溶連菌が原因菌となることがあります。EBウイルス感染による急性扁桃炎は、首のリンパ節腫脹や脾腫なども合併することがあります。

症状は?


のどの強い痛み(重症だと食事や飲水も困難)、発熱、全身倦怠感、頸部リンパ節の腫れ・痛みなどがみられます。重症化すると「扁桃周囲炎」や「扁桃周囲膿瘍」となり、入院治療が必要となることがあります。さらに病気が進行すると呼吸が苦しくなり、窒息の危険性がでてきます。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

検査は?


  • 咽頭診察:口からのどの状態を観察します。
  • 喉頭内視鏡検査:のどの深部の状態を観察し、呼吸の通り道が狭くなっていないかを確認します。
  • 培養検査:原因菌を特定します。
  • 血液検査:感染症の重症度を判定します。
  • 迅速抗原検査:溶連菌感染症を疑う場合に行います。

治療法は?


  1. 薬物療法:抗菌薬やトラネキサム酸(抗炎症作用)、解熱鎮痛薬を服用します。重症の場合は抗菌薬に加え、ステロイド剤の点滴を行うことがあります。ウイルス感染症の場合は抗菌薬が無効であり、トラネキサム酸、解熱鎮痛薬のみとなります。
  2. ネブライザー療法:ステロイド剤などの薬剤を霧状にして散布することで、のどの奥まで薬液が届くようになり、炎症を和らげる効果が期待できます。
  3. 手術療法:扁桃炎を何度も繰り返すと、扁桃が腫れた状態が続き、感染しやすくなります。これを慢性扁桃炎と呼びます。特に、1年に4?5回以上急性扁桃炎を繰り返す場合は「習慣性扁桃炎」と呼ばれます。また、扁桃の炎症が長く続くと、腎臓(IgA腎症)や皮膚(掌蹠膿疱症)などに悪影響を及ぼすことがあります。このような状態を「扁桃病巣感染症」といいます。習慣性扁桃炎や扁桃病巣感染症の方は、手術で扁桃を摘出することが推奨される場合があります。

咽喉頭炎(いんこうとうえん)

どんな病気?


咽喉頭炎は、のど(咽頭)や声帯周辺(喉頭)に炎症が起こる病気です。一般的な「のどの痛み」は、ほとんどが咽喉頭炎によるものです。風邪など急性に生じるものは急性咽喉頭炎、炎症や刺激が続き、慢性化したものを慢性咽喉頭炎と呼びます。

原因は?


  • 急性咽喉頭炎:主な原因はウイルスや細菌の感染です。いわゆる風邪(感冒)によるのどの痛みは急性咽喉頭炎であることがほとんどです。その他、のどの乾燥や声の酷使なども原因となります。
  • 慢性咽喉頭炎:のど、声帯への慢性的な刺激によって生じます。喫煙、飲酒、乾燥の他、アレルギーや胃酸逆流症、声の酷使などが原因となります。

症状は?


  • 急性咽喉頭炎:のどの痛み、声がれ(嗄声)、咳、痰、発熱、全身倦怠感などがみられます。
  • 慢性咽喉頭炎:のどのヒリヒリ感・イガイガ感、のどの違和感、異物感、長引く咳・痰、声がれ(嗄声)などがみられます。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

検査は?


  • 口腔咽頭視診:口からのどの状態を観察します。
  • 喉頭内視鏡検査:のどの深部の状態を確認します。
  • 培養検査:感染が疑われる場合、原因菌を特定します。
  • 血液検査:炎症の程度やアレルギーの有無を判定します。
  • 迅速抗原検査:溶連菌感染症を疑う場合に行います。

治療法は?


  1. 薬物療法:細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を使用し、必要に応じてトラネキサム酸(抗炎症薬)、去痰剤、鎮咳薬、解熱鎮痛薬、うがい薬などを併用します。また、胃酸の逆流が関与している可能性がある場合は胃酸抑制薬を、アレルギーの影響が考えられる場合は抗アレルギー薬を使用します。
  2. ネブライザー療法:ステロイド剤などの薬剤を霧状にして散布することで、のどの奥まで薬液が届くようになり、炎症を和らげる効果が期待できます。
  3. 生活習慣の改善:咽喉頭炎の原因となり得る生活習慣を改善します。禁煙、禁酒、加湿器の使用や積極的な水分摂取(カフェインを含むコーヒー、お茶は控える)、声の安静、食後1~2時間は横にならない(胃酸逆流の予防)などがあります。

咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)

どんな病気?


咽喉頭異常感症とは、のどに異物感や違和感があるにもかかわらず、検査をしても明らかな異常が見つからない状態を指します。「のどに何か詰まっている感じがする」「常にイガイガする」といった症状が続くことが特徴です。

原因は?


のどは敏感な組織であり、少しの刺激でも違和感がでることがあります。咽喉頭異常感症の主な原因として以下のものが考えられています。
  • 咽喉頭酸逆流症(逆流性食道炎):胃酸の逆流によるのどの刺激
  • 慢性咽喉頭炎:喫煙や飲酒など、慢性的なのどへの刺激
  • 頸部腫瘍:のどや首にできた腫瘍による症状
  • 精神的負荷:ストレスやうつ、不安感
  • 更年期障害:ホルモンバランスの変化によるもの

症状は?


のどの違和感、異物感が主な症状で、「常にのどに何かつまっている感じ」「持続するのどのイガイガ感」「食事は問題ないが、つばを飲むときに違和感がある」「のどを締め付けられている感じ」といった訴えが多く聞かれます。

検査は?


  • 口腔咽頭視診:口からのどの状態を観察します。
  • 喉頭内視鏡検査:のどの深部の状態を確認します。
  • 血液検査:炎症の有無などを確認します。
  • 頸部エコー検査:腫瘍の有無を確認します。
  • 上部消化管内視鏡:治りが悪い場合、食道の検査が必要となります。
  • 頸部CT検査:治りが悪い場合、頸部の詳細な検査が必要となります。

治療法は?


検査で異常が見られない場合、診断を検討しながら治療を行い、その反応をみることで診断を確定させる「診断的治療」を行います。

  1. 薬物療法:胃酸抑制薬や漢方薬(半夏厚朴湯など)、必要に応じて抗不安薬などを服用します。
  2. ネブライザー療法:ステロイド剤などの薬剤を霧状にして散布し、炎症を和らげます。
  3. 認知行動療法:過剰な病気への不安が症状を悪化させることがあるため、検査結果に異常がなく、安心することで症状が改善することがあります。

その他の病気

睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)

どんな病気?


睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中のいびきや呼吸が止まる病気です。睡眠の質が低下することで眠気や作業効率の低下が起こります。長期的には高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞などの原因になると報告されています。
睡眠中の状態を自分で把握することは難しいため、無治療の方が大勢いると推計されています。

原因は?


無呼吸が起きる原因によって大きく2つに分類されています。

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群:空気の通り道(上気道)が狭くなることで呼吸が止まるタイプ。肥満によるのど周りの脂肪や、顎が小さい、舌が大きい、扁桃が大きいなどの身体的特徴や、鼻炎による鼻づまりも要因となります。お子さんの場合、多くは生理的なアデノイド・扁桃の肥大が原因となります。
  • 中枢性無呼吸症候群:脳(呼吸中枢)の異常によって呼吸が止まるタイプ。メカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した方の約12~49%に中枢性の無呼吸がみられるとの報告があります。

症状は?


いびき、強い眠気、倦怠感、集中力の低下がみられます。また、朝起きたときの頭痛や、熟睡感がないなどの症状がみられることがあります。

検査は?


  • 鼻、口の診察:鼻の広さや扁桃のサイズ、舌の大きさを確認します。
  • 内視鏡検査:鼻、のどの内部の状態を詳しく確認します。
  • 簡易検査:検査キットをレンタルし、自宅で睡眠中の酸素飽和度などを調べます。
  • ポリソムノグラフィー:簡易検査の結果により必要となる場合がある精密検査で、1泊入院が必要となります。

治療法は?


  1. 鼻疾患の治療:鼻中隔弯曲症やアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などで鼻づまりがある場合に必要となる治療です。抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド鼻噴霧薬といった、アレルギー反応を抑える飲み薬や点鼻薬を使用します。薬物療法で効果が出にくい場合は、鼻づまりを解消する手術療法が有用なことがあります。その際は実施可能な医療機関をご紹介いたします。
  2. 生活習慣の改善:肥満気味の方は首・のど周りの脂肪により上気道が狭くなっています。からだ全体のためにも、適正体重の維持は重要となります。仰向けよりも横向きで寝ると上気道の狭さが軽減されます。抱き枕などの寝具が有用な場合があります。アルコールによる筋肉の弛緩、たばこによる上気道の炎症を避けることが重要です。
  3. マウスピース:軽症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に有用な治療法です。マウスピースとよばれる歯科装具を使用し、下顎を前方に出すように固定することで上気道を広げます。歯科医院で相談が必要です。
  4. 持続陽圧呼吸療法(CPAP):中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に有用な治療法です。CPAPとよばれる装置を使用し、鼻から空気を送り続けて無呼吸を解消します。装着状況や症状の改善具合をみるために、毎月の通院が重要です。
    1日4時間以上、7割以上の日に使用することで、生活習慣病になるリスクが軽減すると報告されています。慣れるまで不快な感じがしますが、健康寿命を延ばすためにも、まずは最初の1か月、毎日根気強く使用することを目指しましょう。
  5. 手術療法:お子さんや大人の一部で、アデノイドや扁桃肥大が原因となっている場合は、扁桃摘出術が有効な場合があります。その他にも口蓋垂軟口蓋咽頭形成術という口蓋垂(のどちんこ)の一部を切除する手術が適応となる場合があります。また、限られた施設でのみ可能な治療法ですが、舌下神経電気刺激療法とよばれる電気刺激装置を皮下に埋め込む治療も適応となっています。

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